悪吏とは
受領(ずりょう)の中で、巨利をあげるために強欲な振る舞いを行った人。任地で郡司や有力農民から暴政を訴えられるケースがしばしばあった。
大宰大弐(だざいだいに)藤原惟憲(ふじわらのこれのり/963~1022)
「随身の珍宝はその数を知らず、九州二島の物、底を払って奪い取る」『小右記』
悪吏の例
以下に悪吏の例を載せる。
藤原元命
尾張国郡司百姓等解文
988年(永延2)年「尾張国郡司百姓等解文(ーひゃくしょぅらのげぶみ)」によって訴えられた尾張守藤原元命(ふじわらのもとなが)も悪吏の1人である。31ヶ条にわたって訴えられたという。
尾張国郡司百姓等解し申し請ふ官裁の事。
裁断(さいだん)せられんことを請(こ)ふ、当国の守(かみ)藤原朝臣元命(ーあそんもとなが)、三箇年の内に責め取る非法の官物(かんもつ)并(あわ)せて濫行横行(らんぎょうおうこう)三十一箇条の愁状(しゅうじょう/嘆願書)『尾張国郡司百姓等解文』
罪の内容
- 出挙(すいこ)の他に利息を過徴。
- 法令価格よりも安い値段で特産物を買い取る。
- 田の面積を何倍にも算定して徴税。
- 京から「不善の輩(ふぜんーともがら)」を連れて来て法外な行為に及ぶ。
結末
政府はこの訴状を取り上げ、藤原元命を国司から解任。しかし、元命は他の官職に就くのみで済み、特別な対策が講じられた訳ではなかった。
「解(げ)」と「符(ふ)」のちがい
- 解・・・下から上に出す文書。
- 符・・・上から下に出す文書。
藤原陳忠
信濃守(しなののかみ)・藤原陳忠(ふじわらののぶただ)の名言
「受領は倒るる所に土をつかめ」
源隆国・著『今昔物語集』
エピソード
京へ帰る際に谷底に落ちたが、這い登る途中に生えていた平茸をとることを忘れなかったという。
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