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飛鳥時代奈良時代

わが国における律令国家のしくみ~大宝律令の完成~

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飛鳥時代
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大宝律令の完成

息子が早世した持統天皇(じとうてんのう)は、孫の文武天皇(もんむてんのう)に譲位し、藤原京での即位後、持統太上天皇(ーだいじょうー)と藤原不比等(ふじわらのふひと)主導のもと、刑部親王(くさかべしんのう)を総裁として、新たなな 律令の編纂が進められ、701 (大宝元)年、日本初の律・令共に完備された大宝律令(だいほうりつりょう)が制定。律令国家の法的基盤が確立された。中国の諸制度を参考に作った。詳しくは律令体制を参考

律と令

律(りつ)とは今日の刑法。 悪をこらしめるための法律。懲悪的。

令(りょう)とは今日の民法、商法、行政法などに相当。律に対して勧善的。

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養老律令

718年、元正天皇(げんしょうてんのう)の在位時に藤原不比等らによって、養老律令(ようろうりつりょう)制定。 757年に 藤原仲麻呂(ふじわらのなかまろ/恵美押勝・えみのおしかつ とも)によって、 孝謙天皇(こうけんてんのう/のちの称徳天皇・しょうとくてんのう)の時代に施行された。

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律令と中央官制

飛鳥時代の行政制度は二官・八省・一台・五衛府からなります。ちなみにこれに含まれない官職は令外官(りょうげのかん)という。
中央官制

二官

二官は以下の2つからなる。

神祇官

神祇官(じんぎかん)は神祇祭事を司る。神祇官の長官を伯(はく)という。

太政官

太政官(だいじょうかん)は行政を管轄する。太政官の長官を太政大臣という。太政大臣は適任者がいなければ置く必要がなかった。その性格の官職を則闕の官(そっけつのかん)という。

公卿

公卿(くぎょう)とは太政大臣(だいじょうだいじん)・左大臣(さだいじん)・右大臣(うだいじん)の公と大納言(だいなごん)・中納言(ちゅうなごん)・参議(さんぎ)・三位以上の卿からなる。重要政務は公卿によって構成される会議で審議された。

八省

弁官

左右の弁官(べんかん)が設置され、八省を統括した。

左弁官

中務省・式部省・治部省・民部省からなる。中式治民。

右弁官

兵部省・刑部省・大蔵省・宮内省からなる。兵刑大宮。

中務省

中務省(なかつかさしょう)は証書の作成、侍従の職務などを司る。

式部省

式部省(しきぶしょう)は文官の人事、朝廷の儀式の実施や学問・教育などを司る。

治部省

治部省(じぶしょう)は国家の仏事、外交接待などを司る。

民部省

民部省(みんぶしょう)は戸籍の管理や租税などを司る。

兵部省

兵部省(ひょうぶしょう)は軍事と武官人事を司る。

刑部省

刑部省(ぎょうぶしょう)は裁判や刑罰などを司る。

大蔵省

大蔵省(おおくらしょう)は財政・貨幣・出納・物価などを司る。

宮内省

宮内省(くないしょう)は宮中の事務を司る。

一台

弾正台(だんじょうだい)は律令体制における役人の監察や風俗の取り締まりなどを司る機関。

五衛府

京内宮中の警備を司る機関。衛門府(えもんふ)、左右衛士府(ーえじふ)、左右兵衛府(ーひょうえふ)からなる。

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地方制度

重要地の特別官庁

大宰府

大宰府(だざいふ/のちに太宰府)は筑紫(現在の福岡県あたり)に存続した総領。他の総領は律令制にあたって廃止された。朝鮮半島・大陸との外交・軍事の最重要地。長官として中央の大納言とほぼ同格の大宰帥(ーのそち)が置かれた。その他、仮の長官を大宰権帥(ーのごんのそち)、次官を大弐(だいに)、少弐(しょうに)。600人近くが勤務。内政上は西海道九国三島を総轄。管内の租税はいったん大宰府に集められ、一部を京進することになった。「天下の一都会」と称された「遠の朝廷(とおのちょうてい)」の名に相応しい規模。

摂津職

難波津(なにわつ)に遣唐使の発着地の外交上要地であるため設置。

左・右京職

京に設置。

鎮守府

724年多賀城が東北に設置。多賀城は鎮守府と呼ばれ、地方の軍政府として機能した。

行政区分

地方は五畿七道(ごきしちどう)に区分された。

五畿

今の近畿地方に存在した5つの国。大和国(やまとー)・山背国(やましろー/794年山城国に改名)・摂津国(せっつー)・河内国(かわちー)・和泉国(いずみー/のちに河内国から分置された)

七道

地方は東海道・東山道・北陸道・山陰道・山陽道・南海道・西海道の7つの道に区分。
律令国家が最も重要視したのは大陸からの文化流入路である上に、外交ルートとしても大事な山陽道である。
五畿七道

区分を間違えやすい国

近江国…東山道、淡路国・紀伊国…南海道。伊勢国・伊賀国・志摩国…東海道。長門国…山陽道。
太宰府は西海道。771年に武蔵国は東海道に所属が変わった。

国・郡・里

五畿七道の下に、国(くに)・郡(ぐん、以前の評)・里(り/のちの郷)が設けられた。国・郡・里は国司(こくし)・郡司(ぐんじ)・里長(りちょう/さとおさ)が管理。ちなみに地方官を任命する知識を県召除目(あがためしじょもく)という。

国司

国全体をまとめた行政官。任期は6年(のちに4年)中央の都から派遣された。国司が事務を行っていた役所を国衙(こくが)といい、役所がある場所を国府という。

郡司

国の中にいくつかにわかれて存在する郡。郡の総括を任されたのが郡司。郡司は国造の子孫。さらに終身制かつ世襲制。国司の支配のもと、公地公民支配を行う。郡司が事務を行っていた役所を郡家(ぐうけ)という。

里長

郡はいくつかの里で構成された。里を統括したのが里長。

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四等官制

四等官には長官(かみ)・次官(すけ)・判官(じょう)・主典(さかん)という4つのランクがある。それを四等官制という。

四等官表

官職神祇官太政官衛府太宰府
長官太政大臣
左大臣
右大臣
大夫大領
次官大副
少副
大納言大輔
少輔
少領
判官大祐
少祐
少納言
左弁官
右弁官
大丞
少丞
大進
少進
大允
少允
大尉
少尉
大監
少監
大掾
少掾
主政
主典大史
少史
左外記
右外記
左史
右史
大録
少録
大属
少属
大属
少属
大志
少志
大典
少典
大目
少目
主帳
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位階制

厩戸王の時代に制定した冠位十二階制は大化改新のときから度々改正された。それを大宝律令で位階制(いかいせい)に切り替えた。位階制は親王には一品(ーぽん)から四品まで、諸王は正一位から従五位下までの14階、諸臣は正一位から少初位下(しょうそいげ)までの30階に分かれており、勤務評定により昇進する規定になっていた。

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官位相当制

官人はそれぞれの位につかないと、それに応じた職につけないシステムだった。例を挙げると正一位につけば、自動的に太政大臣になれる。これを官位相当(かんいそうとう)の制という

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貴族とその特権

貴族とは

貴族は五位以上の官人とその家族。

特権

蔭位の制

三位以上の貴族の孫、五位以上の貴族の子は21歳になると自動的に父や祖父の位階に応じて、親の七光りで自動的に位を与えられるシステム。

位階に応じた特権

位田(いでん)という田地や位封(いふ)と呼ばれる封戸や春秋2回の季節の官人への俸給を季禄(きろく)などが与えられる。。

官職に応じた特権

職田(しきでん)と呼ばれる田地や職封(しきふ)と呼ばれる封戸が与えられる。

位階・官職両方に応じた特権

資人(しじん)と呼ばれる従者が皇族貴族に支給された。

その他特権

調(ちょう)・庸(よう)・雑徭(ぞうよう)などの負担免除。刑罰も減刑特権があった。

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刑罰制度

五刑(ごけい)には次の5つがある。

五刑

竹のムチで打つ。殴打数により五等ある。

笞よりも多く竹のムチで打つ。殴打数により五等ある。

懲役。懲役年数に応じて五等。

流罪。流刑地に応じて以下の三等がある。

近流

近流(こんる)は越前と安芸に流された時。

中流

近流(ちゅうる)は信濃と伊予に流された時。

遠流

近流(おんる)は伊豆・安房・常陸・佐渡・隠岐・土佐に流された時。

死罪。絞(こう)と斬(ざん)の二種類ある。斬のほうが重罪。

八虐

八虐(はちぎゃく)とは国家・天皇・尊属に対する重罪。

  • 謀反(ぼうへん)
  • 謀大逆(ぼうだいぎゃく)
  • 謀叛(むほん)
  • 悪逆(あくぎゃく)
  • 不道(ふどう)
  • 大不敬(だいふけい)
  • 不孝(ふこう)
  • 不義(ふぎ)

の8つある。位のあるものでも減免されず、恩赦の際にも赦されない規定だった。

コメント

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