ルネサンスとは?
ルネサンスは、再生・復興を意味するイタリア語「リナシメント」に由来する。ちなみにイタリア語のルネサンスはRinascitaである。ルネサンスという日本語はフランス語のRenaissanceからきている。
ルネサンスはもともとは意味する通り、ギリシア・ローマ時代の古典文化の復興をめざしたが、それだけにはとどまらなかった。ルネサンス期にとって、古典文化はインスピレーションの源であったのみにすぎない。ルネサンスによって、文学・思想・美術・建築・科学など多方面で新しい文化が生み出された。
「ルネサンス」という概念の定着
ルネサンスは16世紀の美術家「ジョルジュ=ヴァザーリ」がこのルネサンス時代に活躍した画家や彫刻家、建築家などの伝記を掲載した「イタリア美術家列伝」で用いられているのが確認されている。
18世紀のヴォルテールなどの啓蒙主義の時代の著述家も、この時代の文化や社会に注目し、「ルネサンス」の単語を用いている。
現在のルネサンスの概念の定着
現在、一般的に使われているルネサンスの概念を定着させたのは、スイス人のヤコブ=ブルクハルトの『イタリア・ルネサンスの文化(1860年)』である。14世紀から16世紀までのイタリアの国歌・社会・文化を歴史上に散りばめられた史実から汲み取り、ルネサンスという歴史学の概念・時代像をつくりあげていった。
ルネサンスの歴史的な意味
ルネサンスは人間性を抑圧してきた中世の呪縛からの人間精神の開放を意味する。
中世ヨーロッパは思想の中心に神と来世をおいたが、ルネサンスはそれを人間と現世においた。こうした変化は科学などさまざまなものに影響を与えた。そうした中、神学が支配的意義を失うとともに、人間と自然への関心が高まっていった。
古典世界における価値は、中世の集団的思考とは反対の個人主義を表現している。こうして、プラトンがアリストテレスにとって変わった。このとき以降、人間は神の完璧な姿をカタチ化する存在となった。
人間の尊厳がもっとも重要なものとなり、楽観的な人間性善説が生まれた。そして、この人文主義により、個人的自由の観念が広まっていったのである。
ルネサンスの時代に、近代文化の基盤が確立され、世界と人間について近代的な理解の出発点がえられた時代なのである。
ルネサンス時代の歴史的な位置づけ
ルネサンスの起源をさかのぼると、中世までたどることができる。そのため、中世と近代をはっきり区分することはできない。
そうではなく、ルネサンスは中世の次の時代であるという考え方がある。中世→ルネサンス→近代といった感じだ。近代文化の主要な部分はルネサンスが終わった17~18世紀に形成されると考え、ルネサンスを中世の範疇に入れることも可能とした。あるいは、中世的な時代と近代的な時代の境界として機能したという見方もある。
ルネサンスはその概念自身が多様な見方をされるのである。
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