以前、世界恐慌についてまとめましたね。
今回は世界恐慌のアメリカの対応について見ていきましょう。
フランクリン=ローズヴェルトの当選
1932年、民主党のフランクリン=ローズヴェルトはニュー・ディール政策を掲げて、共和党のフーヴァーと大統領選挙で争い当選しました。
ローズヴェルト大統領は前例を破り、例外的に3選した大統領として知られています。
ニュー・ディール政策は日本語では新規まき直し政策と訳されることが多いですが、ディールは「分配」という意味で、本来は新分配政策といったほうがいいと個人的には思います。
アメリカの戦争の時代は民主党が担当
慣習的にアメリカでは、民主党政権は軍事産業との関わりが深いため、戦争の時代は民主党が政権を担っていることが多いです。これを軍産複合体といいます。もちろん、共和党が戦争を開始した例もイラク戦争等ありますが、
どちらかといえば、民主党のほうが多いです。
ニュー・ディール政策の内容
- 世界恐慌で職を失った失業者救済のために公共事業へ投資
- 資源保護活動の推進
- 失業・青年層の吸収
- 公共事業局による学校・道路建設の推進
- テネシー渓谷開発公社(TVA)の設立
- 農業調整法(AAA)によって、農家へ金銭を分配する見返りに生産量を抑制。農産物価格上昇へと繋がった。
全国産業復興法(NIRA)
政府と産業界がタッグを組んで、
産業部門別の生産量調整を行った法律。
農業調整法もその1つと同じです。
資本主義国家なのに、社会主義政策を採用していますね。
その代わり、企業間の公正な競争を促すために、
労働者の団結権や団体交渉権の承認。
最低賃金の設定などを取り決めました。
修正資本主義
このような行き過ぎた資本主義政策を見直して、社会主義の制度も吸収してうまく活用する政策を修正資本主義といいます。21世紀はじめの北ヨーロッパの国々が典型ですね。
炉辺談話
ローズヴェルト大統領は、ホワイトハウスからラジオで国民に政策のプレゼンテーションを行いました。
これを炉辺談話といいます。
全国産業復興法と農業調整法の違憲裁判
連邦裁判所によって、全国産業復興法と農業調整法は違憲と審判されました。
しかし、結局は実行されます。
ワグナー法
労働組合の権利を認める法律。
経営者側の組合活動への不当労働行為を禁止。
日本の労働組合と経営者の癒着
日本の特に大企業では、出世の登竜門として労働組合で実績を出すことが求められることもあります。もちろん、実績とは経営者へ有利な見返りを働くことです。そのため、日本では1980年代以降は急速に労働者運動は冷え込んでいっており、日本の低賃金環境の1つの原因になっています。アメリカではワグナー法があるためそれはできません。「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方の著者・岩田松雄さんも日産自動車の労働組合を経由して出世していきました。
アメリカ労働総同盟(AFL)の変化
ワグナー法など、ニュー・ディール政策の動きの中で、アメリカ労働総同盟は新しい産業別組合を作ろうという動きになっていった。
産業別労働者組織委員会(CIO)の設置
鉄鋼王・カーネギーで有名な鉄鋼業やマスタングで有名なフォードなどの自動車産業で労働組合という動きになっていった。
そこで1935年、産業別労働者組織委員会が設置された。
CIOはAFLに除名されたあとで、
産業別組織会議(CIO)として生まれ変わった。
カーネギーの名言
普通の人間が持って生まれる財産と言えば、時間だけだ。by鉄鋼王・カーネギー
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