アヘン戦争の原因-紅茶の台頭と三角貿易とアヘン取締と東洋蔑視-
前回、アヘン戦争の原因についてまとめました。
今回は、実際のアヘン戦争の経過について見てみましょう。
英国商人の監禁と束縛と追放と
大清帝国の欽定大臣(日本でいう地方創生大臣とか少子化担当大臣とかの特定担当大臣)であったアヘン取締役の林則徐は当然、アヘンを厳しく取り締まった。
林は道光19年(1839年)、イギリスの中国領事やイギリスのアヘン商人を厳しく取り締まり、アヘンを没収する政策を行った。
さらに、アヘンを使用した者は死刑にするなど、
厳しい政策を執り行った。
イギリス商人は監禁や国外追放になった。
イギリス議会のアヘン戦争への議決
1834年、イギリスは株式会社東インド会社の中国貿易独占権を廃止、イギリス政府の監督で直接自由貿易を実現させようとしていた。
ロンドンの議会では中国の対アヘン政策を巡って、
中国に対して戦争を行うか、戦争をしないかの投票が行われた。
アヘン戦争賛成派は、
清が奪ったアヘンを戦争を行い賠償金を獲得しようと主張しました。
アヘン戦争反対派はアヘンを使用するのは非人道的であると主張しました。
投票の結果、
アヘン戦争賛成が271票。
アヘン戦争反対が262票。
となり、わずか9票の差で、
イギリスは中国と戦争を行うことを決定しました。
アヘン戦争の実際
1840年清は水徳であったために、
水勇の旗を掲げて、
林則徐が広州に兵を集めました。
しかし、イギリス軍は
最先端の技術の兵器を集めており、
また、
イギリスは広州を避けて、
首都北京に軍艦を派遣した。
清の道光帝は負けることを恐れて、
林則徐をクビにして、
新疆ウイグルに左遷し、
イギリスと講和します。
それはイギリスとの講和条件だったのです。
南京条約など不平等条約
南京条約(対イギリス)
大清帝国はイギリスに敗れました。
その結果、南京で1843年に南京条約を結びました。
その時、香港をイギリスに譲って、
九竜半島は含まない香港島単体です。
九龍半島の南部は北京条約で、
イギリスの中国進出時に島嶼部と北部を割譲されます。
また、賠償金2100万ドルを四年分割で支払うこと
- 広州
- 福州
- 厦門
- 寧波
- 上海
の5港の開港
公行の廃止による貿易完全自由化
が行われました。
虎門寨追加条約(対イギリス)
1843年締結された南京条約の追加として、
虎門寨追加条約が締結されました。
この条約では、
イギリスに一方的な
片務的最恵国待遇を認めました。
さらに港の近所はイギリスの租借地になり、
この外国による土地租借が租界と言われるようになります。
南京条約と虎門寨追加条約で、
大清帝国は貿易拡大と主権喪失の開国を強制されました。
望厦条約
望厦条約はイギリスの不平等条約を受けて、
アメリカが便乗して大清帝国と結んだ不平等条約です。
望厦条約とはマカオ郊外の地名です。
大清帝国が張り子の虎であるということが分かった
アメリカ合衆国は南京条約締結後、
1844年に大清帝国に認めさせた条約です。
南京条約とほぼ同じ内容で、
アメリカと結んだものです。
イギリスより踏み込んだ不平等条約で、
イギリスの領事裁判権が処罰権だけであったのに対して、
アメリカは裁判権・処罰権も認めさせており、
アメリカはより一歩不平等感を深めました。
この時のアメリカ合衆国は、
ホイッグ党のタイラー大統領です。
アメリカは1848年にアメリカ・メキシコ戦争で
カリフォルニアを獲得し、大西洋岸に達することになります。
将来の大西洋岸に達することに備えて、
中国と有利に条約を結んでおこうと思った
先手先手の条約です。
1850年代にはアメリカ船の中国進出の中継地の必要性が強まり、
1853年に鎖国中の日本に強く開国を要求するため、
ホイッグ党のフィルモア大統領がペリー艦隊を日本に派遣することになります。
黄埔条約(対フランス)
黄埔条約はアメリカの望厦条約の便乗を受けて、
フランスも大清帝国と便乗して、
1844年に不平等条約を結んだものです。
アメリカの望厦条約とほぼ同じ内容ですが、
フランスは更に中国との不平等条約を進めました。
フランスはフランス人が中国で起こした刑事犯罪は、
フランスの法律で裁くことが明記されました。
この点で、フランスはアメリカよりも一歩進んだ不平等と言えます。
この時、フランスは七月王政の時期で、
中国に対してはキリスト教の布教という使命感を帯びていましたが、
イギリスのアヘン戦争に刺激を受けた
フランスは中国への経済的進出に舵を取った。
ついで、19世紀後半のナポレオン3世の第二帝政になると、
インドシナ出兵と併せて、
フランスも中国というケーキを食べる戦争への参加を表明し、
アロー戦争を起こすことを決意します。
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